発達障害による困りごとが引き金となり、過度なストレスや環境との不適合が重なることで引き起こされる「うつ」や「適応障害」など二次的な障害のことを、一般的に「二次障害」と呼んでいます。
今回は、発達障害を持つ方に起こりやすい「二次障害」について、主な原因や対処法などを解説します。
二次障害について興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
発達障害児の「二次障害」とは
発達障害児における二次障害とは、本人の特性や困りごとにより、社会生活の中で強いストレスや適応できない環境が続くことで引き起こされる、二次的な問題のことです。
- うつ病
- 双極性障害
- 適応障害
- 複雑性PTSD
- 愛着障害
- 摂食障害 他多数
二次障害とは、ひとつの疾患だけを表す言葉ではなく、発達障害によって引き起こされた二次的な精神疾患を総じて表現しているものです。よって、一言で二次障害といっても、人により症状や疾患は様々と言えます。
反抗や暴力、反社会的行動として表れることも
一見二次障害とは分かりにくいものですが、精神的に表れる特徴だけでなく、反社会的な行動や暴力、反抗といった行動によって外在化するケースも。社会生活に適応できなかったり、発達障害が原因で強いストレスを感じていたりする子どもが、非行に走るのは意外と少なくありません。
発達障害の子どもが反社会的になるのではなく(ここは誤解のないようにしてください)、反社会的な行動の裏に発達障害が隠れているケースがある、と捉えると良いでしょう。
参考:大塚製薬すまいるナビゲーター|自閉スペクトラム症の「二次的な問題(二次障害)」を防ぐ
二次障害が引き起こされる原因
二次障害は、本人の持つ特性がきっかけとして、社会の中でストレスフルな環境下に置かれることで引き起こされるケースが多数あります。
具体的には、以下のような原因が挙げられます。
- コミュニケーションがうまくとれない
- 周囲に合わせて行動することができず、叱責をうけたり眼だったりする
- 注意されたり叱られたりすることが多い
- 周囲の無理解で「変わった人」「変な人」「ダメな人」と扱われる
- 同級生から仲間外れにされる、からかわれる
- 学校の勉強についていけない など
ここでは、ごく一部の例しかありませんが、子どものもつ発達特性により、困りごとやそれに付随する生きづらさは異なります。いずれにしても、ストレスの多い環境下で過ごすことで、本人に何らかの不調が出てしまう、というのが共通しています。
二次障害にならないための対策・対応
では、二次障害にならないために、発達障害のお子さんに対してはどのようなアプローチができるでしょうか。ここでは、一例をご紹介します。
- 適宜休息をとる(ストレスから解放される時間をもつ)
- 生活リズムを整え、情緒を安定させる
- 自己肯定感を高める
- 特性を受け入れ、苦手をカバーする方法を試す
- 得意な分野を伸ばす(自己肯定感向上に◎)
- 環境調整を行う(本人が困りごとをかかえにくい環境にする)
- 療育をうけ、社会の中で生活しやすいように学んでいく
- 周囲の理解を得る など
様々な対策を上げましたが、ようは本人の困りごとを軽減し、社会の中で生きやすい環境を作ってあげることが大切です。特に、発達障害の子どもは社会の中で叱責を受けることが多いため、自分の力を信じられない子も多いもの。そこを「あなたは素晴らしい人間」と伝え、支えてくれる周囲の存在が必要不可欠と言えます。
間違っても、「良くなってほしいから厳しい環境にする」「課題をたくさんこなすことでスキルアップしてもらう」といった、本人をより苦しめてしまう方法をとらないことです。
もし、二次障害になってしまったら?
では、もしすでに二次障害になってしまったお子さんがいたら? という問いに関してですが、基本的には先述の対策と同じです。そこに、二次障害の治療が加わるイメージです。
発達障害から起因する二次障害に関しては、二次障害そのものだけにアプローチしても意味がありません。そうなってしまう原因である一次障害に対しての対策が重要です。そうでなければ、たとえ一時的によくなったとしても、また繰り返すことになってしまいます。
お子さんの二次障害が発覚した時は、なぜそうなるのか、困りごとを軽減するためにはどうするべきか、お子さんやその周辺環境をしっかりと観察し、対応していきましょう。
まとめ
発達障害のお子さんが抱える社会生活での困難さによって引き起こされる「二次障害」。二次障害として表れる病気や行動は様々ですが、共通して言えるのは、それぞれが生きる困難さと大きなストレスをかかえているという点です。
二次障害は、発達障害のお子さんにとっては決して珍しいことではありません。そうならないためにも、周囲の理解と、適切な環境が必要です。発達障害のお子さんが生きやすくなるため、どんな困りごとがあるのか、その子が生きやすくするためにどう対処していくか、お子さん自身と一緒に考え、まずはひとつずつ対応していきましょう。