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発達障害の「吃音症(どもり)」とは?原因や対処法を解説

吃音症

発達障害のひとつ「吃音症」。「どもり」と言えばピンとくる方も多いと思いますが、発達障害の症状だと知らない方も多いのではないでしょうか。
今回は、発達障害の「吃音症」について、原因や対処法などを解説します。身近に吃音のお子さんがいて気になっている方や、吃音症について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

吃音症とは?

吃音症(きつおん、どもり等とも呼ぶ)は、発語がなめらかに出ない(非流暢である)発達障害です。ASD(自閉症スペクトラム)と1~2割の併発があるとされており、吃音だけではない別の発達障害も同時に持っている可能性があります。

吃音症の特徴

吃音における特徴的な言語症状は、以下の3つです。

  • 連発(音のくりかえし)……「あ、あ、あ、あのね……」「ぼ、ぼ、ぼ、僕は……」等
  • 伸発(音の引き延ばし)……「りーーーんご」「あーーなたの」等
  • ブロック・難発(異常に間が空いてしまう)……「……………っおはよう」等

中には、吃音の症状を出ないように意識することで、そもそも話す場に行くのをやめてしまう、「えーーーーあのーーー」など話し出す前に助走をつけるような癖がついてしまうといったケースもあります。また、話せる時期と話せない時期とに波があるため、気が付きにくいことがあるかもしれません。

幼児期(2~5歳)の発症がほとんど

国立障害者リハビリテーションセンターによると、吃音症の多くは幼児期に発症し、8%前後の発症率です。発症後は、7~8割は自然に治ると言われています。

参考:http://www.rehab.go.jp/ri/departj/kankaku/466/2/

吃音症の原因

吃音症の原因は、2通りあります。

  • 発達性吃音(体質的な吃音)
  • 獲得性吃音(後天的な原因での吃音)

吃音の9割は発達性吃音

吃音の9割は、発達性吃音です。発達性吃音の特徴としては、国立障害者リハビリテーションセンターによると以下の内容です。

・幼児が2語文以上の複雑な発話を開始する時期に起きやすい
・幼児期(2~5歳)に発症する場合がほとんど(小学校以降に発症することもあります)
・発症率(吃音になる確率)は、幼児期で8%前後
・発症率に国や言語による差はほとんどない
・有病率(ある時点で吃音のある人の割合)は、全人口において0.8%z前後
男性に多く、その比は2~4:1程度である(年齢や調査により結果は変動します)
以下のような要因がお互いに影響し合って発症する

体質的要因(子ども自身が持つ吃音になりやすい体質的な特徴)
発達的要因(身体・認知・言語・情緒が爆発的に発達する時期の影響)
環境要因(周囲の人との関係や生活上の出来事)
*体質的要因(遺伝的要因)の占める割合が8割程度という報告もあります
参考:http://www.rehab.go.jp/ri/departj/kankaku/466/2/

体質的・遺伝的な要因が8割とも言われていますが、一方で発達過程における環境や周囲の要因、生活などによって吃音が引き起こされているケースもあるため、一概に「これが原因」とは言えません。

後天的な原因で吃音症となるケースも

後天的な原因、いわゆる「獲得性吃音」の場合は、主に2つの要因です。

  1. 脳の損傷や神経の病気、薬物使用などによる「獲得性神経原性吃音」
  2. ストレスやトラウマ体験、精神的な要因で起きる「獲得性心因性吃音」

いずれも10代の後半以降に発症するもので、大人の吃音症とも言われています。よって、子どものころからの吃音は「発達性吃音」のみです。

吃音症への対処法

吃音症のお子さんが身近にいる場合、以下の4点に注目して対応するのが良いでしょう。

  • 吃音の症状に注目せず、穏やかな表情でゆっくりと話を聞く
  • どうしても言葉が出にくいときは「〇〇だね?」と確認するのはOK
  • 話すこと以外での得意分野を伸ばし、自己肯定感を上げる
  • 周囲への理解を得る

吃音の症状に注目せず、穏やかな表情でゆっくりと話を聞く

吃音の症状がでていると、つい驚いたり、まどろっこしくなって急かしたりしてしまう気持ちになってしまうかもしれません。ですが、その対応は逆効果です。
吃音の症状は気にせず、表情に出さないようにして穏やかに、かつゆっくりと話の内容に注目して聞いてあげることが大切です。
少しでもかわいそうに思うようなそぶりを見せたりすると、本人がより気にしてしまうため、会話そのものを楽しむと良いでしょう。会話が成功することで、本人の自信にもつながります。

どうしても言葉が出にくいときは「〇〇だね?」と確認するのはOK

どうしても言葉が出にくく、本人が非常に困っているときには「〇〇のことかな」と補足してあげるシーンも、時には必要です。ただし、なんでもかんでもすぐに代弁してしまうと、本人の自信喪失につながるため、本人が「察してほしい」「わかってほしい」とアイコンタクトしてきたときなど、本人が「望んでいる」と感じたときのみにしましょう。
判断がつかない場合は筆談などに切り替え、書いてもらうのも一つの手段です。

話すこと以外での得意分野を伸ばし、自己肯定感を上げる

吃音症を持っている子は、話すこと自体に苦手意識をもっており、それが自己肯定感の低さにつながっていることがあります。自信を持って話せるようにするためにも、話すこと以外での本人の得意分野を伸ばし、自信を持てるように促してみましょう。

周囲への理解を得る

支援者ひとりが上記の対応を行っても、周囲の理解が得られないとNG対応を連発されて病状が悪化する可能性があります。よって、周囲の子どもたちや支援者にも、共通認識をもってもらい、丁寧に説明・対応することで理解を得ることが重要です。

絶対にやめて!吃音症へのNG対応

吃音症のお子さんに対して、絶対にしてはいけないNG対応は、以下の4点です。

・嘲笑やからかいの対象にする
・「落ち着いて話せば大丈夫」などアドバイスをする
・先回りして言葉を奪ってしまう
・言葉の練習をさせる(もう一度言って、こう言うんだよ、等の促しも)

いずれにしても、本人に必要以上にストレスを与えたり、自信をなくしてしまったりする行動です。周囲の理解を得ながら支援方針を間違えず、適切に対応していきましょう。

まとめ

吃音症とは、発達障害のひとつ。あまり知られていませんが、発達障害者支援法にも含まれています。
吃音症の症状は主に以下の3通り。

  • 連発(音のくりかえし)……「あ、あ、あ、あのね……」「ぼ、ぼ、ぼ、僕は……」等
  • 伸発(音の引き延ばし)……「りーーーんご」「あーーなたの」等
  • ブロック・難発(異常に間が空いてしまう)……「……………っおはよう」等

いずれも特徴的なため、身近な人であれば本人の吃音に気が付くことが多いと言えます。吃音症への対応としては、本人の自己肯定感を育み、話すことを通じて楽しさや自信を得られる「成功体験」を積むこと。
決して単純な練習などで改善されるものではありませんので、ご注意ください。お子さん自身の困りごとに寄り添い、ぜひ適切な支援を行っていきましょう。

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