家族や身近なお子さんに、自分の話ばかりを一方的におしゃべりしてしまうお子さんはいませんか? 同世代のお子さんと比較して、あまりにも会話が一方的だったり、空気がよめなかったりすると「発達障害では?」と心配になりますよね。
もちろん、性格上たくさんしゃべってしまうだけで、発達障害ではない、というケースもありますが、中には本当に発達障害が原因でおしゃべりをしすぎてしまうお子さんも。
今回は、発達障害の子が自分の話ばかりしてしまう原因と、その対処法を見ていきましょう。
自分の話ばかりしてしまうのは「発達障害」かも?
冒頭でお話した通り、相手の顔色や対応おかまいなしに自分のはなしばかりを一方的にしてしまうお子さんは、発達障害の可能性があります(すべてのお子さんがそうとは限りません)。小さな子であれば、社会経験の少なさから、一方的にしゃべり続けてしまうのは普通のことですが、学童期になってもそれが顕著に表れる場合は、なにかしらの特性をもっているかもしれません。
一方的にしゃべりつづけることで相手にどう思われるのかを察することが難しく、いつのまにか嫌われていたり、あまり相手にされなくなったりしてしまった……と、本人が困りごとを抱えてしまっている場合もあるようです。
では、発達障害があると、なぜ「一方的にしゃべってしまう」のか、よくある原因を見ていきましょう。
発達障害の人が自分の話ばかりしてしまう原因
発達障害を持つお子さんが、自分の話ばかりしてしまう原因としてよくあるのは、以下の2パターンです。
- ADHDが原因で「どんどん思考が移り変わってしまう」
- ASDが原因で「空気をよめない、こだわりの強さが会話に出てしまう」
ADHDが原因で「どんどん思考が移り変わってしまう」
ADHD(注意欠陥・多動障害)のお子さんの場合、話しているうちに、その多動性からどんどんと話題が移り変わってしまい、話がまとまらないことがあります。例えば、次のようなシーンはないでしょうか。
親:「今日の給食はなんだった?」
子:「今日はね、給食でプリンが出たんだけどね、その時Aちゃんが牛乳をこぼしちゃって、大変なことになっちゃってね。先生がふいてくれたんだけど5時間目がそれで遅くなっちゃって……だから、今日はあまり授業ができなかったんだよね。がっかりしたよ~」
親:「で、給食は…」
子:「あっ!そういえば、授業が進まなかったから宿題が多く出されたんだった!今からやらなくちゃ!(ランドセルを見に行く)」
親:「…」
思いつくままにお話をするので、会話の内容がまとまらなかったり、最初にされた質問を忘れて別の話題に移ってしまったりする子も少なくありません。
そのせいで、話しているうちに周りから呆れられてしまい、悲しい思いをするお子さんもいます。必ずしも、自分勝手だからたくさん話してしまうわけではない、というのがADHDのお子さんです。
ASDが原因で「空気をよめない、こだわりの強さが会話に出てしまう」
ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは、以下の特性から一方的に自分の話ばかりしてしまうことがあります。
- 相手の空気をよめない、表情やしぐさ、言葉のニュアンスから察するのが苦手
- こだわりが強く、自分の好きなものの話をどんどん話してしまう
たとえば、以下のようなシーンは見たことがないでしょうか。
A:「Bくん、この間のお休み、どこへ行ったの?」
B:「この間は水族館に行ったよ!水族館には●●って魚がいて、この魚はヒレがすごく長いのが特徴なんだけど、同じようにヒレが長い△△もいたよ。でも、●●と△△を見分けるコツがあってね、●●はヒレの下に…」
A:「へ、へぇ~。楽しかったみたいだね。私はあまり魚に興味はないんだけど。(もう聞きたくないなあ)」
B:「うん、それでね、今度は□□って魚が…」
A:「わたし、もう行くね!(もう付き合ってられない!)」
このように、ASD傾向があるお子さんは、相手が出している「その話はもうしてほしくないな」というサインをしっかり受け取れずに、自分の興味のある話題をしゃべり続けてしまうケースがあります。本人に悪気はないのですが、周りから「変わっている子」と思われてしまい、なじめなくて困ってしまうお子さんも多数みかけます。
自分の話ばかりして本人・周りが困ってしまう時の対処法
自分の話ばかりしてしまい、結果的に本人や周りが困ってしまうのであれば、まずは会話の際に具体的なルールをもうけ、うまくいったとき、そうでないときを振り返りながら会話のルールを更新していくことがおすすめです。自然に対応を改善するのが難しいなら、具体的なルールだと発達障害のお子さんも理解しやすくなります。
・結論から話をするように心がける
・相手の話題に沿った話をするようにする(話題を飛ばさない)
・どうしても自分の話をたくさんしたいときは相手の許可を取る
・時間を区切って話す(3分だけ話していいよ!など) など
一言で「自分の話ばかり一方的にしてしまう」と言っても、なぜそうなってしまうのかは人それぞれ。まずはお子さんがどのタイプかを分析し、困りごとに対して具体的に対策をたててアプローチしてみてください。
ちなみに、ADHDのお子さんでも「結論から話す」を心掛けたことで、簡潔に話せるようになる訓練ができ、質問に対して答えがあちこちにいってしまうことが減った、というケースがあります。「障害だから」とあきらめず、お子さんにフィットする方法を試行錯誤し、困りごとを解消してみてくださいね。
まとめ
自分の話ばかりしてしまうお子さんの中には、発達障害をもっており、その特性が原因で「一方的にしゃべり続けてしまう」という困りごとが現れている可能性があります。
もちろん、よく話すのが好きなだけで、発達特性があるわけではない……というお子さんもみえますが、いずれのケースにおいても大切なのは「そのお子さんが何に困っているか」「どうしたいのか」という点です。
自分では相手とうまくやりたいのに、ついしゃべりすぎてしまう、空気の読めないことを言って困らせてしまう……という困りごとがある場合は、困りごとに対して様々な対処法を試し、自分の中で「会話のルール」を作ることで、スムーズに雑談ができるようになるケースも。
まずはお子さんの困りごとが何なのかを知り、お子さんと一緒に対応を工夫していきましょう。