愛知県一宮市の児童発達支援、放課後等デイサービスの「ハナバコ」です。
言葉のおくれ、発語がないなどの「言語発達遅延」。近年、言語の発達に悩み、発達相談を受ける親子が増えています。
今回は、言語発達遅延について、主な原因や検査、トレーニング方法などを解説します。
お子さんの言語発達の遅れが気になる方や、言語発達遅延について支援者として知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
言語発達遅延とは?
言語発達遅延とは、簡単に言うと「言葉の理解・発語の遅れ」を指します。
言語発達遅延となるには様々な要因が考えられますが、「表出(発語)の遅れ」で気が付くケースが多くあります。言語発達が明らかに遅れていると判断する基準を、言語表出と言語理解に分け、まとめました。
<言語表出の遅れ>
・1歳半までに意味のある言葉を話さない
・3歳までに2語文を話さない
<言語理解の遅れ>
・1歳半までに2~3語の日常的な言語の理解ができない
・2歳までに簡単な言語指示に従えない
これらは、1歳半検診や3歳検診でもチェックされる項目です。普段あまり集団で同年代の子どもと活動する機会がない場合、検診ではじめて気が付くこともあります。
大切なのは、うちの子、ちょっと遅れているかな?と感じたとき、すぐに関係機関や検診時の保健師に相談し、早期発見・早期対処することです。
言語発達遅延となる6つの要因
ここでは、言語発達遅延となる要因を6つ解説します。
- 聴覚の障害
- 自閉症などコミュニケーション能力の問題
- 知的な発達の遅れ
- 言語機能の特異的な障害
- 発声や発語に関する機能的な障害
- 環境要因
聴覚の障害
ことばのインプットができる「聴力」に障害がある場合、そもそも全くことばが聞こえていなかったり、音がゆがむ・小さく聞こえたりするなどの問題があるため、言語発達遅延に繋がります。
言語の発達遅延が疑われる場合、まずは聴力の検査を行うのが一般的です。
自閉症などコミュニケーション能力の問題
代表例でいえば自閉症など、コミュニケーションの能力そのものに障害がある場合は、言語発達も遅れる傾向があります。自閉症児の場合は、相手の存在そのものを意識に入れにくく、言語刺激そのものが脳の機能的に受けにくい側面があります。
もちろん個人差はあるため、一概に「自閉症傾向だから言葉が出ない」とは言えません。
知的な発達の遅れ
知的障害がある場合は、他の知的な発達の遅れに伴い、言語の遅れも生じます。知的障害がある場合は、ものごとを「ことば」などの記号(象徴)として置き換える「象徴機能」の発達もゆっくりと進むため、言語のおくれとして表れます。ことばを理解するだけではなく、語彙を増やすことも難しいため、知的障害がある場合、身体は大人でも話せるのは簡単な単語、というケースも多くあります。
言語機能の特異的な障害
その他の発達や知的な遅れがないにも関わらず、言語に関わる中枢神経系の機能に問題があり、特異的な「言語発達遅延」として障害があらわれることもあります。
発声や発語に関する機能的な障害
言葉の理解には遅れがないにも関わらず、うまく発音できない、発語がゆっくりと進む場合は「発声機能」や「発声器官」に問題が生じている場合があります。
例えば、口蓋裂により発音が難しいケース、ほかにも舌が奇形で発音が難しいケース、口周りや顎の筋肉が未発達ではっきりとした発音が難しいケースなどがあります。
環境要因(虐待、複数言語がとびかう環境)
能力及び機能的な問題がないにも関わらず言語発達遅延が疑われる場合、以下のような環境要因が関係していることがあります。
・2言語以上が家庭内や外でとびかう環境(例:両親が外国語を話し、保育園では日本語など)
・虐待
・不適切な養育環境(コミュニケーション不足、スマホやゲームのやりすぎなど)
虐待はもってのほかですが、そのほかの環境要因でことばが遅れている可能性がある場合は、ひとつずつ環境を整えることが大切です。
言語発達遅延の検査
言語発達遅延が疑われる場合、以下の項目で検査を行うのが一般的です。
- 難聴の検査
- 発語を含めた全体的な発育・発達を確認
- 発語や発声の機能的な面を確認
- 言葉の理解力、表出力を検査
まずは聴力に障害がないかを様々な検査をしながら確認します。簡易的なものですと、後ろから気が付かれないように耳元で指をこすり、その音に反応して振り向くかの検査のほか、ささやき声による絵カード指しなど、3歳児検診で行うような検査もあります。
その後、発語を含めた全体的な発達や発育を確認し、発語のための器官や機能に問題がないか、またことばをどこまで理解しているかなどを検査していきます。
その中で、何が言語発達を遅らせる原因になっているかを探り、対応していきます。
言葉の発達を促すポイント
言葉を促す際に大事なポイントは「コミュニケーションの促進」「言語発達を促す環境づくり」の2点です。
- コミュニケーションを積極的にとる
- 言語学習に適した環境を整える
コミュニケーションを積極的にとる
言葉がまだ出ていないお子さんに対しては、まずは「言語理解」から育てていくのがおすすめです。たとえば、以下のようなコミュニケーションを増やしていきましょう。
- 子供が興味をもったものや子供の感情・行動に対して寄り添い、言葉かけをする(例:電車が来たね、うさぎさんだよ、おなかがすいたね、楽しかったね、など)
- 短い指示を伴う活動を行う(例:ボールを持ってきて、等)
- 意思を確認する質問を投げかけてみる(例:いちごとバナナ、どっちを食べる?)
- はっきり、ゆっくりと口の動きが分かるように話す
ここでご紹介した内容はごく一例ですが、まずはお子さんが「ことば」と「ものごと」を結び付けられるよう繰り返しコミュニケーションを取りながら、言葉でのやりとりの楽しさを味わえるように工夫してみましょう。
お子さんの発達段階によって適したコミュニケーションの方法は異なるため、保育士や幼稚園の先生、療育の支援者と相談しながら進めてみてください。
言語学習に適した環境を整える
言語の学習環境に適した環境を整え、子どもが自然に言葉でのコミュニケーションへの欲求を高められるようにしていくことも、非常に大切です。たとえば、以下のような工夫をしてみましょう。
- テレビやゲームをしている時間を減らす
- スマホを見る時間を控える
- 様々なものに触れ、遊びや活動を通じてモノ・コトへの興味・関心を育てる
- 2言語以上が飛び交う環境をなくす(外でも家庭内でも同じ言語を使って育てるようにする)
- 直接的なコミュニケーションのやりとりが発生するような遊びを取り入れる など
- 同年代の子どもたちが集まる場所に通ったり(支援センターなど)、イベントに参加したりする
- 言語聴覚士による専門の言語訓練を受ける
お子さんによって適した環境は異なりますので、どの環境を整えるべきかは、今のお子さんの発達状況や環境を照らし合わせながら考えてみてくださいね。困った場合は、必要に応じて地域の子育て・発達相談先にも相談してみましょう。
言葉の遅れの相談先
言葉の遅れに気が付いたときは、たとえば以下のような相談先があります。
・小児科
・子育て支援センター
・児童相談所
・発達相談センター など
ちなみに、ハナバコがある愛知県一宮市では、子ども関係の相談窓口を一覧にして後悔しています。
特に発達に関する困りごとは、以下の相談先があります。少しでも言語発達遅延が気になる場合は、一度相談してみてください。
<療育サポートプラザ「チャイブ」>
電話:0586-64-6362
月曜日~金曜日 午前9時~午後4時(祝日・年末年始は除く)
(注)「いうことを聞かない」「落ち着きがない」「保育園や学校の生活になじめない」など、お子さんの発達が気になる保護者の方の相談窓口です。
※担当地区:北部、中部、大和、大和南、今伊勢、萩原、尾西第一、尾西第二、尾西第三の各中学校区(この地区以外は、「いずみん」または「まーぶるの森」が担当します。)
<こども相談「いずみん」(児童発達支援センター「いずみ学園」内)>
電話:0586-78-3111
月曜日~金曜日 午前9時~午後4時(祝日・年末年始は除く)
※担当地区:南部、西成、西成東部、葉栗、丹陽、浅井、千秋の各中学校区(この地区以外は、「チャイブ」または「まーぶるの森」が担当します。)
<児童発達支援センター「まーぶるの森」>
電話:0586-86-6820
月曜日~金曜日 午前9時~午後4時(祝日・年末年始は除く)
※担当地区:北方、奥、木曽川の各中学校区(この地区以外は、「チャイブ」または「いずみん」が担当します。)
まとめ
言語発達遅延は、様々な要因から引き起こされる「ことばの発達の遅れ」の総称です。表出しているのが「言葉が出ない」ということだけでも、実は聴力に問題があったり、言葉だけではなく全体的な発達の遅れがあったりということも。
お子さんの言語発達について気になる方は、まずは地域の相談窓口に相談し、対応していきましょう。