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字が書けないディスグラフィア(書字障害)とは?症状や原因・支援方法を解説

こんにちは。愛知県一宮市の児童発達支援・放課後等デイサービス「ハナバコ」です。発達障害の中でも、全体的な発達の遅れがないにも関わらず特定の学習行動だけが苦手な学習障害(LD)。その中でも、文字を書くことを苦手とする「ディスグラフィア」で困っているお子さんも、少なからず存在します。
文字を書くことが苦手、うまくかけない、書くことに対して異常な拒否感がある……そういった「気になる」お子さんは、もしかしたらディスグラフィアかもしれません。

今回は、ディスグラフィアの症状や原因、具体的な支援方法を解説していきます。身近にディスグラフィアのお子さんがいる方、ディスグラフィアについて興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

ディスグラフィア(書字障害)とは?字が汚い子は当てはまる?

ディスグラフィア(書字障害)とは、学習障害のひとつで、主に「文字を書くこと」を苦手とする特性のことを指します。
一般的に学習障害はその他の発達の遅れがとくにみられないため、書字障害は「単にさぼっているだけ」「やる気がない」「わがまま」と捉えられてしまうこともあり、発達障害として理解されないことも。
無理やり文字を書かせることで強いストレスとなり、うつなどの二次障害を引き起こす可能性もあるため、書字障害が疑われるお子さんの対応には注意が必要です。

ちなみに、単に字が汚いだけではこの障害に当てはまることはほとんどありません。字が汚いだけではなく、非常に時間がかかる、文字として認識できていないなどほかのサインがあったとき、はじめてディスグラフィアを疑うケースが多いと言えます。

参考:厚生労働省e-ヘルスネット|学習障害(限局性学習症)

ディスグラフィアの主な症状

ディスグラフィアの主な症状は、以下の通りです。

  • 数字や文字がうまくかけない
  • 文字はかけても時間が非常にかかる
  • 文字や数字を書くことに大きな抵抗感・苦手感が強い(年齢にそぐわない程度に)
  • 正確に文字を書き写すことが難しい
  • 句読点を忘れる
  • マス目に沿った大きさで字を書くことが出来ない(大きすぎてはみ出る、小さすぎるなど)

ひらがなやカタカナはなんとか書けても、漢字になると文字の複雑さが増すために書けなくなってしまう子もいます。文字を習い始めでは上記のような面が出てくるお子さんはいますが、小学校に入学後、しばらくたっても文字を書けない、理解力はあるのに板書が出来ず周りについていくことが難しい子は、発達障害の可能性も視野に入れて考えると良いでしょう。

ディスグラフィアとなる主な原因3つ


ディスグラフィアと判断されるお子さんが「なぜ書けないのか」。困りごとがディスグラフィアとして表れる理由はまだ明らかになっていませんが、原因の「傾向」はあります。
ここでは、ディスグラフィアに繋がる主な理由を3つご紹介します。

  • 手先が不器用で文字が書きにくい
  • 文字を文字として視覚的にとらえにくい
  • 文字の形と音をまとまりとして認識しにくい

手先が不器用で文字が書きにくい

手先が不器用で鉛筆を上手に持てない子や、細かく手先を調整するのが苦手で文字を書くのが難しい子が、「ディスグラフィア」と判断されることがあります。不器用さが原因でディスグラフィアとなるお子さんは、はね、はらいといった細かな文字の特徴を再現できないほか、枠をはみだしてしまい細かい文字を書けないといった困りごとがあります。

また、目でとらえた情報に対し、頭では分かっていても文字として指先で細かく再現することが難しく、結果自信をなくし書くことが出来なくなってしまう子も。文字を書く以外にも、指先の不器用さが目立つ場合はここに分類される可能性があります。

文字を文字として視覚的にとらえにくい

目で情報をとらえることが苦手なお子さんが「ディスグラフィア」と診断されるケースがあります。文字をひとつのまとまりとして認識することが難しく、文字のパーツそれぞれに注目してしまって一つの文字としてとらえられないことや、パーツそれぞれの位置関係を把握することが難しいことが多く、本人にとって書字障害として出てしまうようです。

特に、漢字は複雑なパーツで成り立っているものもあるため、書字障害のお子さんにとっては困難を極める文字です。ディスグラフィアは「視機能」の問題と密接な関係がある、と知っておくのが良いでしょう。

文字の形と音をまとまりとして認識しにくい

ある言葉や文字どのような読み方・音と対応しているかを認識する「音韻処理」がうまくいかず、言葉は知っていても文字として表現できないお子さんもいます。
トレーニングによって改善されるケースもありますが、言葉と音がばらばらになっているうちは「書きなさい」と言われてもなかなか対応できず、ストレスを抱えてしまうだけの結果につながりかねません。
単純に不器用なのか、それとも視覚処理の問題なのか、音と文字が繋がっていないのかによって、対応は変わってきます。様々な要素によってディスグラフィアとして表れていることを知っていると、対応にもバリエーションが持たせられます。ぜひ、覚えておいてくださいね。

ディスグラフィアに治療法はある?

よくある質問が「ディスグラフィアは治療できるのか?」という内容です。ディスグラフィアそのものをすぐに治療できる方法は、確立されていません。

根本的な治療法はなし

表面的に表れている困りごとが「ディスグラフィア」であっても、先述のようにその原因は子どもによって様々です。よって、これをやれば必ず治る! というものはありません。

困りごとに向き合って対応していくのが通例

実際の支援現場では、治療というよりも「トレーニング」と「サポート」によって少しでも困りごとを良くしていくイメージです。
よって、その子がどういった原因でディスグラフィアになっているのかを探り、その子に合った支援を行っていくのが基本です。

ディスグラフィアの支援方法


ディスグラフィアとひとことで言っても、困りごとの原因によって対応は異なります。ここでは、代表的な対応方法を6つご紹介します。

  • 似た文字を間違えるなら「異なる部分の強調
  • 不器用さが原因なら指先作業や筆記訓練
  • 視覚処理に問題があるならビジョントレーニング
  • 握りにくいなら適切な筆記用具を準備する
  • 視覚が敏感で紙が苦手ならトーンを落とした用紙を利用
  • タブレット端末やPCを現場に導入している例も

似た文字を間違えるなら「異なる部分の強調」

「ね」や「れ」、「ぬ」や「め」といった形が似ている文字の細かな違いを認識するのが苦手で間違えてしまうなら、まずは異なる部分を強調した見本をもとに練習してみましょう。

小さな文字では認識しにくいこともありますので、大きめの文字で「め」の最後の部分と「ぬ」の最後の割なる部分を強調して書いてみせ、じっくり違いをみながら書いてみるのがおすすめです。単純に細かいパーツに目がいかない子への支援方法のひとつです。

不器用さが原因なら指先作業や筆記訓練

不器用さが原因となり書字障害に繋がっている場合は、頭では文字をしっかり認識して音との対応もわかっていることが多くあります。となると、困りごとは「筆記が物理的にうまくいかない」こと。
手先の不器用さを改善していくには、指先の作業訓練を行うほか、まずは指先で文字をなぞってみるといったトレーニングを行っていくケースがあります。
文字が書けないほど指先が不器用な場合は、同時にほかの指先作業が苦手なことも予想されます。その子ができることをスモールステップで増やし、訓練するのが基本です。

視覚処理に問題があるならビジョントレーニング

視覚処理に問題があり、うまく書けないという悩みをかかえているなら「ビジョントレーニング」で視機能や目からの情報の認知機能を高める方法をとりながら、徐々に改善を促す方法があります。

たとえば、ジグザグの線の上を目で追いながら指でなぞる、数字を目で追って探すなど、様々なトレーニング方法があります。

最近ではトレーニングの手法を集めた「ビジョントレーニング」の本も出版されていますので、参考にしながらすすめるのもおすすめです。

参考:ナツメ社「発達の気になる子の 学習・運動が楽しくなる ビジョントレーニング」

鉛筆が握りにくい場合は適切な筆記用具を準備する

筋力などの関係で鉛筆自体を握るのが難しいお子さんもいます。その場合は、手先の筋力をつけるトレーニングを行うほか、困りごとに応じて手に合わせた筆記具を用意することがあります。

たとえな、細い鉛筆がにぎりにくいというのであれば太めの鉛筆を用意する、鉛筆が硬くて書きにくいという場合は芯がやわらかい書きやすい鉛筆を用意するといった工夫が考えられます。
鉛筆を握るときの補助具も販売されていますので、しっかり持つのが難しい子にはそういった器具も検討してみましょう。

視覚が敏感で紙が苦手ならトーンを落とした用紙を利用

認知機能や手先の機能に問題がなくても、視覚が敏感で一般的なノートの白さを強い刺激に感じてしまうお子さんもいます。
その場合は、トーンを落とした用紙を利用する、再生紙で暗めの色のノートを使うといった対応が可能です。
もちろん、紙の色が苦手といった単純な理由だけではないケースが多いので、他の支援方法とあわせていくのが良いでしょう。

タブレット端末やPCを現場に導入している例も

現代においては、大人になれば自然と「字を書く」機会は減ってきます。生活スタイルによっては、すべてスマホやタブレット、PCへの入力だけで事足りるものです。

どうしても文字を書くことが苦手、難しい子への支援として、授業や勉強でPCやタブレット端末を利用するケースも増えてきています。
様々な方法を試し、字を書くことでストレスとなり二次障害に発展してしまうよりは、適切にタブレットなどを活用しながらできることを増やしていけるのが良いと言えます。

ただし、この方法は周囲の理解やサポートが不可欠となるため、まずは学校や市の相談窓口などに相談してみてください。

まとめ

ディスグラフィアは、LD(学習障害)のひとつ。日本名では書字障害と呼ばれていますが、他の面で全体的な発達の遅れがないにも関わらず、文字を書くことだけが難しい発達障害のことを指しています。
ディスグラフィアとなる原因はお子さんによって異なりますが、まずは困りごとがどんな理由で起こっているのかを探り、適切に支援をしていくことが大切です。

参考:文部科学省|通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について

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