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ABA「応用行動分析」とは?基本の支援方法やポイントを解説


近年注目される療育の支援方法の一つである「ABA(応用行動分析)」。子どもの行動を分析し「なぜそうなったか」「きっかけは何か」を探ることで、その子の行動の意味を見つけ、支援に繋げる手法です。
今回は、ABAについて、どのような支援方法なのか、具体的に実践するにはどのようなステップをふむのかを解説します。
ABA(応用行動分析)に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

ABA(応用行動分析)とは

冒頭でもお話したとおり、ABA(応用行動分析)とは、子どもの心理を理解し、良い行動に結びつけるため、その「行動」に着目し、分析していく支援手法です。

・何がきっかけか
・その結果、どのような行動に繋がったか

このように、きっかけと結果を結び付けて考え、きっかけとなる環境や出来事を調整し、問題行動を減らす、もしくは望ましい行動へと変えていける・増やしていけるように支援していくのが「応用行動分析」の考え方です。

良い結果はその行動を強化するきっかけとなる

たとえば、いくつか例を挙げてみましょう。

➀Aくんは帰宅後、すぐに荷物を片付けた→母親に褒められた→くりかえし行い、習慣に
➁Bさんは父の手伝いをした→ごほうびが与えられた→さらに手伝いをするようになる
➂Cくんはおもちゃが欲しくて泣いた→困った親が買い与えた→ほしいものがあると泣くようになった

単純な例ではありますが、それぞれの子は「報酬(良い結果)」が与えられたことで、その行動が強化されています。その行動自体が不適切な行動であっても、逆に望ましい行動であっても、本人にとって「良い結果」が得られれば、その行動は強化される、というのがABA(応用行動分析)の考え方です。

逆に、望ましい行動をしたとしても、その結果「褒められない」「失敗をして怒られた」という「悪い結果」が起きれば、その行動は減少します。ABAではとにかく「行動と結果」に着目し、良い行動には良い結果を、不適切な問題行動には悪い結果を意図して結び付け、良い行動を増やしていきます。

ABAは「行動の原因を見つける」ことがポイント


ABAは行動に着目し、分析する手法ですので、まずは対象となる「行動の原因を見つける」ことがポイントです。そのためには、支援対象の子どもをよく観察し、行動パターンを見つけることが重要となります。

観察すると本人にとっての「報酬」が与えられていることも

たとえば、いつも施設に来所すると、すぐに入り口から見える位置のトイレで遊んでしまう自閉症の子がいたとします。一見するとただの問題行動で、支援員としては注意をしてやめさせたくなるところですよね。

ところが、よく観察してみると、その子はトイレで遊ぶだけではなく、他にも来所してから行う「ルーティン行動」が存在したのです。さらに、決まった行動が終われば、安心して落ち着いて過ごすことができました。

つまり、この子にとってトイレで遊ぶことは「悪いこと」ではなく「施設の中で安心するためのマイルーティン・こだわり」であり、同じ行動を繰り返すことで「安心する」というよい結果が得られるために、繰り返し行っていたのです。

この場合、ルーティンを崩すタイミングを見つけ、適切に「良い結果」が与えられることでその行動を減らすことができる可能性があります。たとえば、いつもは来所するとすぐ目に入る位置に「トイレ」があるのを、環境調整で別のもの(トイレが見にくくなるように荷物置きを配置するなど)におきかえ、荷物置きに興味を示したところで「荷物をおき、靴下を脱ぐ」ことを真っ先にさせ、ルーティンを崩し、できたらすかさず褒め、好きな遊びや落ち着く場所に誘います(報酬を与える)。

1度ではうまくいかないかもしれませんが、繰り返し行うことで、だんだんと「望ましい行動」と「報酬(ほめられる、または好きな遊びができる)」に繋がり、良いルーティンが出来てくるのです。

実際には文章のようにかんたんにはいきませんが、原因(報酬)を知ることで、さらに良い結果が得られる行動に誘導したり、きっかけ(この場合は入り口からトイレが見えること)そのものを取り除いたりすることもできる、ひとつの「例」として捉えてください。

ABA(応用行動分析)の分析・行動ステップ


ABA(応用行動分析)を実践する際は、以下のような分析・行動ステップで行うのが基本です。

・行動分析
・問題行動は無視・または悪い結果を与える
・望ましい行動を良い結果に結びつけ、増やす

行動分析

ABA(応用行動分析)では、まずはその名の通り行動の分析を行います。分析を行う際は、次の項目に分けるとやりやすくなります。

➀先行事象(Antecedent)…-先にあったきっかけ(環境や状況など)
➁行動(Behavior)…きっかけが誘発した行動
➂結果(Consequence)…得られた事象(行動の結果)

この分析手法を「ABC分析」と呼びます。では、例をあげて考えてみましょう。

例:Aくんは、家に帰るとすぐ目の前にあったおやつを食べてしまい、食べ終わると足りないと泣き喚いた。すると、困った親がおやつをさらに与えた。

この場合、ABC分析にあてはめると、以下のように分析できます。

➀先行事象(Antecedent)…-帰ったら目の前におやつがあった(きっかけ)
➁行動(Behavior)…すぐに食べ、足りないので泣いて要求した(行動)
➂結果(Consequence)…さらにおやつが与えられた(良い結果)

こうして分析してみると、先行事象や結果に対してはたらきかけることで、行動を変えられる可能性が見えてくると思います。しっかりと分析をしたら、次のステップに進みます。

問題行動は無視・または望んでいない結果を与える

行動を分析したら、まずは問題行動にはとりあわない(無視)してみましょう。ここでいう無視というのは、子どもそのものを無視するのではなく、その行動への関心をはずすという意味です。

泣いている子どもがいるとついあれこれと世話をやいたり話しかけたりしたくなりますが、そうすることでかえってそれが報酬(子どもにとっての良い結果)となり、行動を強化する原因になりかねません。

静かに、問題行動が終わるまで待ちます。危険な行動がある場合は、その行動を静かに取り除き、よけいな注目はしません。行動を起こしても、思った通りにならなかった、行動の意味がなかったと知らせることで、その行動を減らすのです。

マイナスな注目を与えないように注意

ここで注意したいのは、「叱る」「怒る」といったマイナスな結果を、行動と結びつけないこと。注目をあびたい子どもにとって、大人が叱る、怒るといった行動で注目を与えると、それが悪い注目であっても、報酬として機能してしまうケースがあります。

よって、ポイントは「注目をあたえない」「望んだ結果を与えない」ということです。つい叱ってしまいたくなるとは思いますが、上手に注目を外していきましょう。

また、そもそも帰ってすぐにおやつを食べられてしまう環境要因を取り除くことで、問題行動を減らすという手段もあります。その場に応じて適切に、分析・対応していくようにしてくことが大切です。

望ましい行動を良い結果に結びつけ、増やす

応用行動分析において大切なのは、問題行動を減らすだけではなく、望ましい行動を増やすこと。たとえば、おやつをさらに要求して泣く、といった行動をやめたら、すかさず「おやつを食べた後泣かずに切り替えができてえらいね」と具体的に褒めます。

すると、以下のようなパターンが生まれ、自分にとってよりメリットのある後者の行動が強化されると予想できます。

・おやつを欲しくて泣く→なにも、注目すらも得られない(望まない結果)
・おやつを食べた後、泣かずに切り替えられる→ほめられる(良い結果)

行動を強化する要素を「強化子」と呼びます。この場合、ほめられることが子どもの強化子となり、おやつの後に切り替えて行動ができるように導きます。

子どもによって強化子は異なります。たとえば、上手に切り替えられたら好きな遊びを15分できる、といったことでも良いですね。その子にとって適切かつ効果のある強化子を使って、良い行動を増やしていきましょう。

まとめ

ABAはペアレント・トレーニングにも通じる支援法

ABA(応用行動分析)は、発達障害児の親や支援者向けの支援手法である「ペアレント・トレーニング」のもとになる考え方です。
ABAをしっかりと身に着けることで、発達障害児だけではなく、どんな子供にたいしても、行動分析をして、好ましい行動を増やし、不適切な行動を減らすように対応がしやすくなります。興味がある方は、まずは実践してみて、トライ&エラーをくりかえしながら支援に取り入れてみましょう。

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