こんにちは!愛知県一宮市の児童発達支援・放課後等デイサービス「ハナバコ」です。
お子さんがダウン症と診断された方や、身の回りにダウン症のお子さんがいる方はダウン症がどんなものか気になりますよね。
今回はダウン症について、特徴や支援方法などを解説していきます。
ダウン症とは?
ダウン症とは、細胞の21番目の染色体が3本(通常は2本)存在する先天性の遺伝子疾患です。染色体の数に異常があることにより、様々な症状が現れます。
ダウン症は最初の報告者であるイギリス人医師の名前に由来する
ダウン症は、身体的に低緊張であるほか、合併症により体が弱い方も多いことから「体がダウンする」といった意味の「ダウン症」と捉えている方もいますが、実際には異なります。ダウン症の病名は、最初の報告者であるイギリス人医師「ジョン・ラングドン・ダウン」の名前に由来します。
染色体の突然変異は誰にでも起こりうること
ダウン症になりうる染色体の突然変異は、誰にでも起こりうることです。一説には母親または父親が高齢であると、ダウン症になる確率が上がると言われています。
とはいえ、「こうだから必ずダウン症になる」ということはありません。ダウン症のお子さんをもつ親御さんの中には、自分になにか原因があってダウン症となってしまったのではないか、と悩む方もみえますが、「誰にでも起こりうること」「ダウン症に確実になる条件というものはない」という事実を知っておきましょう。
参考:日本ダウン症協会|ダウン症のあるお子さんを授かったご家族へ
ダウン症の特徴
ここでは、ダウン症の方がもつ特徴についてみていきましょう。
- 顔貌が特徴的である
- 全体的にゆっくりと発達することが多い
- 言葉の発達がゆっくりで発語に不明瞭さがある
- 陽気な性格で人づきあいが好き
- 頑固でこだわりが強い面もみられる
- 心疾患や消化器疾患などの合併症があることも
- 聴力が弱い傾向がある
顔貌が特徴的である
ダウン症のお子さんは、顔の中心に対して外側の成長発達が早いことから、外側に引っ張られたような顔つきになる特徴があります。
具体的な、以下の通りです。
・鼻が低く、目が吊り上がっている
・顎が丸みを帯びている
・唇と舌が分厚い
・丸い頬をしている
・小柄でからだの肉付きが良く、やわらかい
このほかにも特徴はありますが、ダウン症のお子さん全体にいえるのは低緊張であるケースが多いこと。筋肉が弱いため、口が開きっぱなしになってしまう子もいます。
全体的にゆっくりと発達することが多い
ダウン症のお子さんは、身体的な発達と精神的な発達の両面において、全体的にゆっくりと発達する傾向があります。知的障害を伴うお子さんもみえます。
全てのダウン症のお子さんがゆっくりと発達するわけではなく、個人差が非常に大きいため、参考程度にしておくとよいでしょう。
言葉の発達がゆっくりで発語に不明瞭さがある
ダウン症のお子さんは舌が分厚く長い子が多く、顎の筋肉の発達もゆっくり進むことから、言葉の発達が遅く、発語が不明瞭になる傾向があります。
語尾だけを声に出したり、ゆったりとした抑揚のない話し方をする子も。中には力強く発音できるお子さんもいますが、はっきりとした話し方は難しい子が多いため、時間をかけてコミュニケーションを取ってあげると良いでしょう。
陽気な性格で人づきあいが好き
全てのダウン症の方がそうとは言えませんが、ダウン症のお子さんは陽気な性格で人づきあいが好きな子が多く、愛されやすい子が多いと言えます。
ダウン症の子が「天使」と呼ばれる背景には、生まれ持った気質の愛らしさがあるのです。
頑固でこだわりが強い面もみられる
ダウン症のお子さんは人づきあいが好きで陽気な性格の一方で、頑固でこだわりが強い面もみられます。
たとえば、ささいなことでは「おりがみはこの色がいい!」「私はいまこれがしたいの!それはいやなの!」といったように、自分がやりたいことができない、妨げられるとなると、かんしゃくを起こしてしまうお子さんも。一般的な認識からは意外な、ダウン症児の一面ですね。
心疾患や消化器疾患などの合併症があることも
ダウン症児は、心疾患や消化器疾患などの合併症を持って生まれてくる子もいます。すべてのお子さんがそうとは限りませんが、中には合併症の手術で成人までに40回も手術を繰り返した子も存在します。
とはいえ、こちらも個人差が非常に大きく、生涯病気とはほぼ無縁、という子もいるのは事実です。あくまで「傾向」としてとらえてくださいね。
聴力が弱い傾向がある
ダウン症児は聴力が弱いお子さんもいます。後天的に難聴になる子もいますので、乳児期は声掛けに反応をするかなど、様子をみていくことが大切です。
ダウン症児やその家族への支援について
ここでは、ダウン症児やその家族への支援についてのポイントをまとめてみました。
- 幼少期は食事、トイレなどの身辺自立の支援が中心
- 活動を通じて周囲とコミュニケーションをとる機会を増やし、興味関心を促す
- 保護者には、こまめにコミュニケーションを取りながらの支援が必要
乳児~幼児期は食事、トイレなどの身辺自立の支援が中心
乳児から幼児期のお子さんに対する療育の支援は、食事やトイレなどの「身辺自立」のための支援が中心となります。
発達がゆっくりすすむダウン症のお子さんが将来的に自分で身の回りのことができるよう、小さなうちから生活動作を習得していくことを目標に支援が行われます。
活動を通じて周囲とコミュニケーションをとる機会を増やし、興味関心を促す
支援活動では、生活動作の支援だけではなく、保育園や幼稚園に通っているようなお子さんが体験する遊びやイベントの活動を行うケースも多くあります。
そういった環境を整えることで周囲とコミュニケーションをとる機会を増やし、人や様々なものに対しての興味関心を促します。
ゆっくり発達するダウン症のお子さんですが、好きなことには一生懸命。興味の幅を増やし、「できる」体験を増やしながら、生活が楽しくなるように支援していきます。
また、聴覚よりも視覚的な情報を上手にキャッチできるお子さんも多いので、イラストなど視覚的に分かりやすいものを使って支援を行うことも多くあります。
保護者には、こまめにコミュニケーションを取りながらの支援が必要
ダウン症のお子さんは発達がゆっくりと進むだけではなく、体が弱かったり、合併症のために手術が必要だったりと、保護者の方の心配が付きません。
日常的にお子さんの支援を家庭内で行っているストレスから疲れてしまう保護者の方もみえますので、施設としてこまめにコミュニケーションをとり、お子さんだけではなく保護者支援も一体的に行います。
まとめ
ダウン症は、先天的な染色体異常が原因となる発達障害の一つです。両親が高齢など、ダウン症になりやすいと言われる環境はあるものの、基本的には「だれでもなる可能性はある」もの。
ダウン症のお子さんへの支援は、小さなころは日常生活動作の支援が中心です。大きくなるにつれて社会性を身に着け、周囲の人とコミュニケーションをとりながら活動を行う楽しみを味わうといった経験をしながら、興味や関心の幅を広げていけるようサポートします。