こんにちは。愛知県一宮市の放課後等デイサービス、児童発達支援「ハナバコ」です。
近年よく耳にする「発達障害」ということば。なんとなくイメージはできても、実際にどんな困りごとや症状があるのかはハッキリと分かる方は少ないのではないでしょうか。
ここでは、自分のお子さんや周りのお子さんが「発達障害かも?」と気になる方向けに、発達障害の種類や症状、発見のポイントなどを解説していきます。
発達障害とは?
発達障害とは、生まれつきにみられる神経発達や脳の働き方の違いにより引き起こされる、発達に関する障害の総称です。
一言で発達障害といっても、お子さんによって症状や困っている内容は様々。同じ診断名でも、ひとりひとりその姿は全く異なります。
発達障害は、グレーゾーンで診断名がつかないお子さんから、重度の障害があり日常生活に支援が必要なお子さんまでいます。
発達障害を持つお子さんは、早期療育や支援を受けることにより、生きづらさを緩和し、社会性を身に着けやすくなるケースが多くあります。
発達障害の種類を5つ解説
発達障害の種類は多岐にわたります。すべての発達障害について解説することはできませんが、ここでは主な発達障害を5つご紹介します。
- ADHD(注意欠陥・多動症)
- 自閉スペクトラム症
- 学習障害・限局性学習障害(LD)
- チック・吃音
- 広汎性発達障害
ADHD(注意欠陥・多動症)
ADHD(注意欠陥・多動症)とは、主に以下の特徴を持つ発達障害です。
・注意力が散漫、落ち着きがない
・いつもそわそわしている
・ケアレスミスや忘れ物が目立つ
・ひとつのことに集中できない
・ついしゃべりすぎてしまう
・話しかけられても気が付かないことがある
・大切な行事や予定を忘れてしまう
・感情起伏が激しい、コントロールが難しい
ADHDの方すべてがこの特徴に当てはまるわけではありませんが、一般的にADHDのお子さんが持つ特性をまとめると、このような内容が多くみられます。
自閉スペクトラム症
自閉スペクトラム症は、主にコミュニケーション面の困りごとが多くみられる発達障害です。知的な遅れをともなう自閉症から、知的な遅れはなく、コミュニケーションの困りごとがあるアスペルガー症候群までを含め「自閉症スペクトラム症」と呼びます。
自閉症スペクトラム所の主な特徴は、以下の通りです。
・言葉の発達がゆっくり
・表情が乏しい
・相手の表情や態度から気持ちを汲み取ることが難しい
・感覚過敏/鈍麻である
・決まった自分の行動パターン/ルールやこだわりがある
・見通しが立たないとき、予想外なことが起きるとパニックになる
・初めての場所やもの、人に対して不安感が強い
・「キーッ!」「らりらりらりらり……」など、特定の音を口から出すことを好む
・不器用である(身体的に)
コミュニケーションはとれるものの、話が一方的になりがちなお子さんや、全く発語がないお子さんもいます。その子の苦手なこと、得意なことをよく見て対応していくことが大切です。
学習障害・限局性学習障害(LD)
コミュニケーションや知能などの全体的なには問題がないものの、特定の学習行動が苦手なお子さんは「学習障害・限局性学習障害(LD)」を持っていることがあります。学習障害の特徴は、以下の通りです。
・全体的な知能の発達には遅れがない
・文字を読むのが苦手、音読ができない、読み間違える
・文章全体の内容を把握するのが難しい
・バランスよく文字を書くことが難しい
・書き写しが苦手、速度が極端に遅い
・頭では分かっていても文章として書くことが難しい
・数の概念を理解するのが難しい
・計算が苦手だ
算数が苦手な学習障害の場合、知的な遅れとの違いを判断するのが難しいケースも。
チック・吃音
チック症とは、意思とは関係なく不随意運動が起きてしまう障がいです。素早いからだと動きや発声などがあります。また、吃音は言葉が滑らかに発音できない、話し出すときに同じ音をくりかえしてしまうなどの発音の障がいです。それぞれの主な症状は、以下の通りです。
<チック>
・体の動かし方が不器用
・我慢していても声が出てしまう(アッ!など短い音や、暴言が出ることもある)
・体が意思と関係なく素早く動いてしまう など
<吃音>
・「ここここここんにちは……」など、話し始めの音を繰り返す
・言葉を出せずに間が開いてしまう
・音の引き延ばしがある
・なめらかに話すのが難しい など
複数のチック症状が1年以上継続して出ているようなケースは「トゥレット症候群」と呼ばれ、チック症状の中でも重症です。
広汎性発達障害
広汎性発達障害は、ひとつの発達障害特性だけではなく、複数の発達障害の特徴が複合的にみられる障がいです。
たとえば、自閉スペクトラム症(ASD)とADHDの特性を併せ持つお子さんは、ひとつの診断名ではなく「広汎性発達障害」とされるケースがあります。
発達障害を発見するチェックポイント
うちの子発達障害かな?私、実は発達障害かも?と思ったときは、下記ポイントをチェックしてみましょう。
✓言葉での指示が通りにくい
✓興味のある分野への知識は豊富だが、偏りがある
✓話が一方的である
✓人の話をじっと集中して聞くことができない
✓受動的で自己主張が全くない
✓一人遊びが中心で集団に興味がない
✓落ち着きや集中力がない
✓相手にとって失礼なことや傷つくことを悪気なく言ってしまう
✓忘れ物やなくしものが多く、覚えておくことが苦手
✓大きな音(雷など)や複数の人の話し声に敏感で耳をふさぐ、奇声を上げる
✓不安定な場所に立つことを極端に嫌がる
✓自分の行動パターンや持ち物などのこだわりが強い
✓体幹が弱く、姿勢よくいることがむずかしい
✓全体的な知的な発達に遅れはないが、特定の学習行動が苦手・嫌がる
✓自分の思い通りにいかないとかんしゃくを起こす、パニックになる
✓感情のコントロールが苦手
✓表情やしぐさから相手の気持ちを汲み取ることが難しい
✓同級生の子どもと遊ぶのが苦手
✓話の細かいニュアンスが伝わりにくい
これ以外にも発達障害の子の特徴はありますが、いくつか項目が当てはまる、発達が気になるところがある、学校や保育園、幼稚園の先生に指摘されるなどがあれば一度発達相談を受けても良いかもしれません。
発達障害かも?と思ったらどうする?相談先は?
発達障害かも、と思ったときは、以下の機関に相談してみましょう。
- 小児科
- 児童精神科
- 地域の療育センター
- 地域の発達相談窓口
愛知県一宮市の場合は、病院以外にも以下の相談先があります。
- こども相談「いずみん」(児童発達支援センター いずみ学園内・電話0586-78-3111)
- 児童発達支援センター「まーぶるの森」(電話:0586-86-6820)
こちらに電話で相談予約を行い、お子さんを一緒に連れて面談での相談が受けられます。発達検査はこちらの相談窓口から病院や療育センターを紹介してもらい、受ける流れが一般的です。
発達が気になる、療育を受けたいけれどどうしたらよいかわからない……という近隣地域の方は、「ハナバコ(0586-77-8220)」に直接ご相談いただいても大丈夫です。
発達障害別の一般的な支援方法・対応例
ここでは、発達障害のお子さんの一般的な支援方法、対応例を簡単に解説します。
特性 | 支援方法・対応一例 |
ADHD | ・端的に、はっきりと伝える ・気が散らないよう周りに必要なもの以外置かないなど環境設定を大切にする ・じっとしていられない、集中できないことに対して叱責せず、できたときに褒める |
---|---|
ASD(自閉スペクトラム症) | ・○○はダメ!ではなく○○しましょう、と肯定的な表現で話す ・手順を示し、お手本を見せて順にスモールステップでできることを増やす ・苦手なものはできるだけ避けられる環境設定を行う(音が苦手→イヤーマフを利用する) ・指示は具体的かつ視覚で捉えやすい方法で伝える |
学習障害 | ・得意な学習方法を活かして学ぶ ・苦手な部分は課題の質や量の調整を行う |
チック・吃音 | ・ひやかしたり、笑ったり、ふざけていると叱責したりしない ・本人の意思とは関係なく出てしまうものなので、反応せず受け入れる ・叱ったり、拒否したりといった態度をとらない ・じっくりと本人が落ち着いて過ごせるように時間をかけ待つ |
よくある支援方法があってもその子に合うとは限らない
ここでは一般的な支援方法をお伝えしていますが、よくある支援方法がその子に合うとは限りません。むしろ、「この特性にはこの支援」と支援者がこだわってしまうことで、ミスマッチを引き起こし子どもの成長を妨げてしまう結果にもなりかねません。
支援方法はあくまで一般論であり、その子自身に合うかは試してみないとわからない点に注意しながら支援を行います。
対象の子ども自身の姿をしっかりと観察し、対応することが大切
最終的には、対象の子ども自身の姿をしっかりと観察し、その子の困りごとに応じて対応していくことが大事です。
ときには、いままでは同じ支援方法でうまくいっていたのに、急にうまくいかなくなった……というケースもあります。
そんなときにも、なぜそうなったのか、分析しつつ様々な方法を試しながら、その子自身に合う支援方法を新たに見つけていくようにしましょう。
発達障害は個人の「特性」!療育で早期発達支援を
発達障害は個人の「特性」です。健常と呼ばれる人であっても少なからず発達の凸凹は存在します。発達障害の場合は、その凸凹が人よりも大きい、得意なことがある分苦手なこともある、と捉えたほうが良いでしょう。
発達が気になるお子さんは早期療育を受けることで、発達障害が改善されなくとも、より生きやすくなる方法を身に着けたり、自立した生活動作を学んだりしやすくなります。
また、周りの支援者が発達障害について理解し、対応できる環境を用意することで、二次障がい(発達障害(一時障がい)により周りからストレスを受けたり、環境が合わなかったりしてうつや適応障害など別の病気になってしまうこと)を予防できます。
お子さんのためにも、発達障害のお子さんにとってよく生きるための術を身に着ける場、健やかに過ごせる場としての療育を、障害を発見した時点からしっかりと継続して受けることが大切です。
まとめ
発達障害には様々な種類があり、診断名がついたからといって一律の対応をすればよいものではありません。発達障害の支援では「その子がどんな困りごとを抱えているのか」「社会生活を送る上でどんなことが困難なのか」に注目し、困りごとを改善できるように支援していきます。
今回は、主な発達障害の種類や特徴、チェックポイントや支援法など総合的に解説しました。少しでも発達が気になる方や、これから発達検査を受けてみたいという方はぜひ相談窓口に相談してみてくださいね。
もちろん、ハナバコへのお電話もお待ちしております。